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マイクロレンズアレイを使用したビームホモジナイザーの構築
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19 Mar 2024

マイクロレンズアレイを使用したビームホモジナイザーの構築

はじめに

レンズレットアレイは、多種多様な光学システムに実装されています。センサーの非感光の領域から光を集めて集光するCCDアレイをはじめ、LCDのアクティブ領域に光を集光して画像を生成するデジタルプロジェクターまで、その種類は実に様々です。

FREDは、これらに使用されるレンズレットアレイを効率的に作成し、光線追跡を正確に実行することで放射照度と照明分布の計算ができます。本記事では、2つの絞り(直径10mm)とレンズレットアレイ(33 x 33)、そしてガウス分布を持つモノクロ光源を均一化する結像レンズで構成される光学システムを構築します。

FREDでのアレイ構造

FREDでは、組み込まれたアレイ関数を使用して光源と構造のアレイを設定できます。簡単な例を挙げると、まず最初に円形の穴を持つ単純な平面を作成することによって、円形の絞りのグリッドを構築したとします。

それからこの構造をxとyに2×2mmの間隔を開けて配列させます。

ここでXとY方向のセルの間隔を2に設定し、X とY方向におけるセルインデックスの最小値/最大値をそれぞれ3 と2に設定します。すると、以下のような幾何学的構造が得られます。

ビームホモジナイザーの構造

この例で使用されるマイクロレンズアレイ(MLA)の構造は、入力平面、それに配列されるベースサーフェス、そしてレンズレットアレイを包み込む外側のエッジ面から構成されています。これらのコンポーネントを以下に示します。

まず、配列されたレンズレットに対応する半幅を持つ入力平面を作成します。この例では、レンズレットのピッチは0.3 mm、数は33 x 33であるため、この平面の半幅は 16*0.3+0.15 = 4.95 mmになります。 FREDのエレメントモデル構成は、この平面を設定するために使用されます (トップメニューより 作成 > エレメントモデル > 平面)。

次に、R(曲率半径) = -2.2、コニック定数 = -1 で新しいサーフェスを作成し、レンズレットのピッチの半分 (0.15 mm) に設定します。そしてこれを配列してレンズレットの出射面を形成します。


新しいサーフェスを設定したら、アレイの組み立てを開始できます。この例では、アレイはXとY方向に、各方向のレンズレットのピッチ (0.3 mm) に等しい間隔で設定されます。33 x 33でのレンズレットアレイの場合、セルの最小値と最大値の範囲は各方向で -16 ~ +16 になります。この場合、レンズアレイは以下のようになります。


このレンズレットを完成させるには、このアレイを囲む別のエレメントモデルをサブアセンブリに追加します (トップメニューより 作成 > エレメントモデル > N面押し出し面)。ここでのエレメントモデルは、4.95 mmの絞りの半値を含み、1.2 mmの長さの4面を持つように設定します。そして最後に、「Fused_Silica」をここで使用する材料として適用すると、次のような幾何学的構造ができます。

この平面上の各正方形は、個々のマイクロレンズを表します。この例でのビームホモジナイザーには、2つのレンズレットアレイが必要となります。この場合、全く同じレンズレット2つが求められるので、既に存在するレンズレットのサブアセンブリをGeometryフォルダにコピーして貼り付け、最初のレンズレットに対してZ方向に5.21 mm 移動させます。

次に、前半径 = 56.183 mm、後半径 = -551.92 mm、厚さ = 1 mm、そしてX および Yの絞りの半値 = 7.5 mm のコンデンサーレンズを組み立てます。まず材料を「Fused_Silica」に設定し、2番目のレンズレットに対してZ方向に0.5 mm移動させます。

その後、解析平面をコンデンサーから99.319 mm離れた位置に設定し、光源 (ガウス分布を持ち、xとyの角度半口径が0.6で、原点からZ方向に-0.1 mmシフトしたカスタム光源)を作成して、ここでの光学システムを完成させます。

解析

その光源の放射照度プロファイルは、以下に示すように、(1億光線で作成された)半幅 5 mmのガウス分布です 。


ビームが(100mm離れたところにある)照明面でホモジナイザーを通過した後の最終的な分布を以下に示します。照明面での最終的な分布から見てわかるように、ビームを均一化することに成功しました。

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