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FREDでの飛行時間シミュレーション

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25 Jan 2021

Time of Flight(ToF)センシングは、昨今ではLiDARなどの先進運転支援システム(ADAS)の重要なテクノロジーの1つであり、電話などの家庭用電化製品にも搭載されています。製品機構のセットアップや設計手法はアプリケーションによってそれぞれ異なりますが、原理は同じです。光が光源から対象物までを往復し、散乱した光が検出器に戻るまでにかかる時間を測定することによって導き出される距離を検出します。

Time of Flightの計算では、光線が移動した光路長から導き出すことができます。次の例では、FREDを使用してこれらを計算する手法についてご紹介致します。最初の例は、ボード上にあるチェスの駒の距離が測定します。2番目の例は、自動車に用いられるLiDARを模しています。

Chess Board Example

最初に、簡単な例として、光源(均一に放射)、チェス盤、および散乱光を集束させる理想的なレンズを含むイメージングシステムで構成される簡単な事例をご紹介致します。


500,000本の光線追跡後、後方散乱の光を捉えた後の検出器での放射照度を以下に示します。


今回の例では、チェス盤と駒は、配置されたボックスよりも後方散乱の度合いが高いため、放射照度が高いことが分かります。

今回の事例ではToFデータを得るためにFREDのシンプルで強力なスクリプト機能を使用する事で効率よく計算していきます。 スクリプトの設定によって受光面で保存された光線群を最短の光路長(OPL)にフィルタリングします。 スクリプトはループ機能によって最も近いものから遠いものまで、対象物の距離毎に分析結果ノード(ARN)を作成します。各光路長(OPL)範囲の分析結果ノード(ARN)を作成後、各距離/時間ステップでの電力値がスクリプトのループ機能によって抽出され、自動でグラフ化されます。

ToF (Irradiance vs Time)


X軸はナノ秒単位の時間であることに注意してください。後方散乱光のピークは、シーン内のオブジェクトに対応しています。

Distance Map


偽色のスケールはミリメートル単位の距離であることに注意してください。

ToF Irradiance Movie


FREDでは、分析結果ノード(ARN)から簡単にムービーを作成する事ができます。記録されたフレームごとのデータから、評価結果を確認できます。

LiDAR Example

同じ解析手法を用いて、自動車のLiDARなどの大規模で複雑なシーンでの評価にも適用できます。 この例では、インポートされたCADデータを使用してFREDでのストリートシーンを作成しています。


1000万本の光線のより大きなセットを処理するわずか数分で、シーンの放射照度を生成し、データセットから距離情報を抽出できます。

Scene Irradiance


Distance Map


Note:計算結果では2台の車の距離の違いや途中にに立っている人、周辺建物の詳細などを引き出しています。上記結果データの赤色は約5mの距離に表し、紺色は約32mを表しています、カラーステップは約30cmの解像度を表します。

Summary

FREDの強力なレイトレースエンジン、分析ツール、およびスクリプトは、ToFシステムをシミュレートするために必要なすべての機能を提供しています。詳細には、お問い合わせください。